読んだ論文のメモ:Robovie as a Mascot: A Qualitative Study for Long-Term Presence of Robots in a Shopping Mall

ロボットがある場所で長期的に運用されると,人々はそのロボットの役割や存在をどう解釈するのか、を分析した研究。あくまでメモなので、もちろん間違ってるところもあるかもしれない。ということで、気になった人は記事の最後部分にあるオリジナルの原稿をどうぞ。

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タイトル:
Robovie as a Mascot: A Qualitative Study for Long-Term Presence of Robots in a Shopping Mall

論文誌名:
International Journal of Social Robotics、2016年。

著者:
Alessandra Maria Sabelli, Takayuki Kanda

これまでの課題:
ロボットを実環境で利用する取り組みは増えているけど、長期間ロボットが人のいる環境で活動することで人々はそのロボットについてどんなことを思うのか、どのように受け入れるのか、はまだ余りちゃんと分析されてこなかった。

課題を解くために何をしたか:
とあるショッピングモールで長期間(足掛け3年間)運用されたロボットを使って、そのショッピングモールのお客さんからどのような存在として認知されているのか、をインタビューでデータを集めて分析した。いわゆるQualitative study。

使ったロボット:
Robovie-II

実験と結果の概要:
1か月間にわたってお客さんに情報提供をするロボット(半自律制御、必要に応じてオペレータが一部操作する)をショッピングモールで運用して、実際にロボットとインタラクションしたお客さんにインタビューを行ってコーディング、分析を行った。インタビュー出来た人数は67人で、分析方法は”Grounded theory”を利用した。インタビューの結果は大きく4つに分けることが出来て、1)ロボットと場所の関係性、2)ロボットの将来の役割、3)マスコットとしてのロボット、4)ロボットの自律性に対する認知の仕方、となった。

個人的に面白いのは,3と4。まず3の、ロボットがマスコットとして認知されているのは、家族連れの多いショッピングモールでロボットが主に子どもたちと良く関わっていたからだと思うけど、これまでのロボットは何かの役に立つとか、仕事をするとか、ツールとしての役割を担うように設計されてきたものがほとんどのはず。でも、マスコットとしての役割を担うように設計するなら、そもそもロボットが持つべき機能や役割も変わってくるし、導入時の文脈も変わってくるはず。

次に4の、自律性に対する認知の仕方だけど、これはインタビューの中でロボットが完全に自律ではなかったことをお客さんに伝えたときの反応に関するもの。オペレータが一部ロボットを操作していることを伝えると、お客さんは驚くものの、否定的な印象を持つ人はいなかったとのこと。上記の事を伝えた後でもロボットが自律で動作しているように感じる人もいたとのことで、ロボットの見た目がそういう印象を生み出す要因かもしれない、と考察されている。

どんな論文を書くときにReferするとよさそうか:
半自律動作型ロボットを利用した研究や、実社会で運用するロボットにどういう役割を持たせるのかを設計する研究と相性がよさそう。

オリジナルのPDFはこちら。Preprintはこちら

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