読んだ論文のメモ。Opinions and Social Pressure

今回は同調圧力、ロボットは関係なし。人が如何に他人の行動やその数に意思決定を左右されるか、という研究。

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タイトル:
Opinions and Social Pressure

論文誌名:
Scientific American, 1955

著者:
Solomon E. Asch

これまでの課題:
人が他人から受ける影響の一つ、同調圧力。例えば、「周りの人がこう言っているから自分もそれにあわせよう」といった感じで意見を変えたり、いわゆる無言の圧力で意見を変えたりすることは良くあると思うけど、そういう社会的な影響は明らかに間違った行動に対しても起きるのかどうか、そして影響を与えてくる他者の数によってどう変わるか、はまだあまり検証がこの時点で話されていなかった。

課題を解くために何をしたか:
比較的簡単なタスク(Visual judgement、ある長さの棒を見せられて、それと同じ長さの棒を3つの候補から選ぶタスク)を被験者に解いてもらう。その際、周りにいるサクラが明らかに間違った答えを出したとき、その数によって被験者の回答がどう変化したかを検証した。

実験と結果の概要:
合計123人の被験者で、サクラの数を1人から15人まで変化させて実験を行った。タスクの回数は18回で、そのうち12回が間違った答えを出される。回答の順番は、N人サクラがいるとすると、(N-1)人のサクラが答えた後に被験者が答えて、最後のサクラがその後に答える、というもの。

実験の結果、サクラの数が3人を超えると、同調圧力を受ける(間違った答えを被験者も言う)割合が約30%へと急に増えた。ただし,サクラの数を増やしてもほぼその割合は変わらず。間違っているとわかっていても、同じ意見を言ってしまうようになるとのこと。

実はもう一つ実験が行われていて、被験者に同調するサクラ(ただし途中で間違った答えを言うようになる)がいた場合も検証されている。同調するサクラがいると被験者が同調圧力を受ける割合は低いままだが、そのサクラが途中で間違った答えを言うようになると、やはり同調圧力を強く受けることが明らかになった。

以下は個人的な感想で、論文中に言及されたものではないのであしからず。

感想:
同調圧力はとても有名な現象で、このAschさんは他にも社会的な影響に関する研究を多数実施している研究者。今回の研究では数の影響を主に検証してたけど、他の研究では権威だったり関係性だったり、いろんな要因の影響を検証しているので、そちらもどこかでメモしたい。

どんな論文を書くときにReferするとよさそうか:
人が如何に他者から影響を受けてその行動を変化させるのか、のわかりやすい例。自分もロボットで同調圧力をかけられるか調べたので(それはそれでいずれメモるつもり)、そういう研究をしている場合は参考になる。

オリジナルのPDFはこちら

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