読んだ論文のメモ。Touch, awareness of touch, and compliance with a request

今回はMidas touchのような、接触の研究。Midas touchの研究でも少し触れられていた、接触に気が付いていたかどうか、が向社会的行動へ与える影響を調べた研究。

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タイトル:
Touch, awareness of touch, and compliance with a request

論文誌名:
Perceptual and Motor Skills, 2002.

著者:
Guéguen, Nicolas

これまでの課題:
過去のMidas touchの研究などでは、被験者が触れられたことに気が付いていなくても、向社会的行動が起きていたという事例は報告されていた。ただ、接触に気が付いているかどうかで、向社会的行動の度合いにどこまで影響があるか、を定量的に調べた研究は無かった。すなわち、接触に気が付いているかどうかで向社会的行動への変化があるのかどうか、はまだ未知だった。

課題を解くために何をしたか:
待ちゆく人々にアンケートをお願いするというタスクで、相手に触れてお願いする場合と触れないでお願いする場合、そして触れてお願いする場合に相手が接触に気が付いているかどうかで、アンケート回答率に変化が出るかどうかを調べた。

実験と結果の概要:
フランスで実施。1人で歩いている女性227名(実際は241名を対象にしたが、14人が接触に気が付いていたかどうかを答えなかったので除外した)に対して、女性の実験者(5人のうちいずれか)がアンケートの依頼をした。条件は上述のように、触れてお願いする場合と触れないでお願いする場合の、2条件。

被験者に触れないグループ(Control群)は72名、触れるグループ(Experimental群)は155名。条件はランダムにアサインしたとあるが、それでこの比率になるのはちょっと謎。Experimental群のうち、接触に気が付いていたのは43名。

実験の結果、Control群とExperimental群ではアンケート回答率が43.1%と67.1%となり、有意な差がみられた。Experimental群の中で接触に気が付いた群と気が付かなかった群で比較したところ,60.4%と69.6%で、有意な差はみられなかった。これらの結果から、接触に気が付いていたかどうかは、向社会的行動の度合いに影響せず、と結論付けられている。

以下は個人的な感想で、論文中に言及されたものではないのであしからず。

感想:
今回の実験は女性同士の接触のみを調べているので、性差による影響は分からず。確か性差と接触の影響を調べた研究もあったのでまた見てみようと思うけど、男性からの接触は何となく、良くない効果を生みそう。

とはいえ、Midas touch効果を期待するなら、相手が接触に気が付いていようがついていなかろうが効果はあるとのことなので、何かお願いするときはどんどん触っていくといいのかもしれない。もちろん性差や人間関係の影響は大きいだろうけど・・・

オリジナルのPDFはこちら

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