読んだ論文のメモ。Virtual Superheroes: Using Superpowers in Virtual Reality to Encourage Prosocial Behavior

 仕事だったりTLだったりでちょうど話題が出てたので、ちゃんと読んでみた。VR空間でスーパーヒーローになると、向社会的行動(人を助ける援助行動とか)が増えるよ、という研究。ちなみに普通のビデオゲームでも向社会的行動が増える結果は過去にもいろいろ調べられている様子。反社会的行動が増えるかどうかも興味あるので、また調べてみるつもり。

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タイトル:
Virtual Superheroes: Using Superpowers in Virtual Reality to Encourage Prosocial Behavior

論文誌名:
PLoS One, 2013.

著者:
Robin S. Rosenberg, Shawnee L. Baughman, Jeremy N. Bailenson

これまでの課題:
 ビデオゲームを通じて人の向社会的行動が増えるのは多数調べられているけど,VR空間での活動がどのように援助行動を促進するか、は未知だった。

課題を解くために何をしたか:
 まず、VR空間内で空を飛べる能力を与えられる。そして、その能力を使って指定されたタスクを実行してもらう。2条件の能力(スーパーヒーローになって飛ぶ or ヘリコプターを操縦して飛ぶ)と2条件のタスク(道に迷った病気の子どもを探す or 散策する)を組み合わせた、2×2の被験者間実験としている。被験者は74名集めて、最終的には60名(男女30名ずつ)のデータを利用。各条件に均等ではないけど、大体同じ割合で配分している。
 VR空間でのタスク終了後、HMDを外した被験者の前で実験者が15本のペンを机から(Accidentallyに)落とす。その時、被験者が実験者を助けるまでの時間(ペンを拾うまでの時間)と、何本ペンを拾ったか、を計測している。すなわち、VR空間での体験が、実空間でペンを拾うという援助行動にどう影響を及ぼしたか、を調べている。

実験と結果の概要:
 スーパーヒーローを体験した被験者は,タスクに限らず、ヘリコプターの操縦を体験した被験者よりもペンを拾うまでの時間が有意に短かった。また、拾ったペンの数も、スーパーヒーローを体験した被験者の方が有意に多かった.この結果を受けて、スーパーヒーローを体験することで援助行動を促されることが示された、という主張がなされている。

(以下は個人的な感想で、論文中に言及されたものではないのであしからず。)

感想:
 ペンを拾うまでの反応時間と拾った数という援助行動は確かに条件間で差があったが、もっと自分に不利益を伴う向社会的行動(募金とか献血とか、もっと大変な力仕事とか)だとどうなるのかな、とは思った。あと、普通にゲームをすることでも向社会的行動が増えることが既知なのであれば、テレビを見ながらゲームをする場合と、VR空間でゲームをする場合で援助行動への影響に差があったのかな、という所は知りたかった。

オリジナルのPDFはこちら

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